朝………、高く連なる山々から眩しい朝日が見え、仙人の家の窓から優しく日が差し込む。
『……朝か…。』
まずは仙人が目覚める。布団から起き上がると綺麗に寝具を畳み、和室にある収納スペースにしまい込む。
『そろそろ起こすかのう……。』
そう言って仙人は通路を歩き出し、目の前にある一際大きなドアがある広大な部屋に円状の鉄板に太い棒のような物を持ちながら入っていった。
入った部屋……、そこには二頭が戯れあった形跡があり、物があちこちに散乱している。そして仙人の視線の先には二頭で寄り添い合い、牙龍は清虎の体に軽く巻き付きながら、清虎はその牙龍を優しく抱き抱えながら、二頭は比較的静かな寝息と時折寝言を言いながら気持ち良さそうに寝ていた。
『……全く…、可愛いのぅ……。起こすのが勿体ないぐらいじゃ……。』
そう言って仙人は持っている鉄板とバチを床に静かに置くと牙龍と清虎の近くに寄って行った。そして二頭の顔近くまで寄ると、
『少し構うかのう…』
と小声で言うとまずは清虎の髭を少し触ってみる。
「……う………ん…にゃ………。」
猫のように顔を前足で軽く覆うような格好をする。そして喉がグルグルとなっていた。
『完全に寝ているのう……。さて……、コヤツはどうかのう…』
次に仙人は牙龍の髭を触れてみる。細く長いその髭は以外と柔らかい。
「きゃ……う…ぅ………。」
牙龍の体が少しだけだが動き、可愛らしい声を出す。
『ふぅ……、そろそろ可哀想だが起こすかの………。』
先程床に置いた鉄板とバチを再び両手に持ち、深呼吸をすると………。
バアアアァァァァアアーーン!!!!!
銅鑼の激しい音が部屋に響き渡る。
「うぁあ〜!!!!」
二頭とも同時に跳ね起きる。
「お早う御座います…、ご主人様…。」
眠たそうな顔をしながら清虎は寝床から起きて来る。
「御主人さま…、おはようございます!」
幼子のように可愛く挨拶する牙龍。少し成長したようだが、相変わらずのようだ。
『うむ…、皆元気みたいだのう。そうじゃの…、清虎、牙龍や、湯浴みしてから飯とするかの…。』
「「はい、御主人様!!」」
二頭と一人は散らかった部屋から出ると湯浴みをするために浴室へと向かうのであった。