制服から見える皮膚は美しい光沢を放つ白い鱗に変わっていき、身体も幾分延びていくと、制服全体が悲鳴を上げるかのようにボロ切れのような状態になった。
腰のあたりからは、制服のズボンを破り太く長い尻尾が生え、上履きをぶち破り大きな鋭い爪をした足が裂けたズボンだった布から姿を現すと、背中からは純白の大きな翼が対になってシャツから勢い良く出てきて、首は長く延び、顔は爬虫類のような上顎と下顎が前に延びて、鋭い牙が見えるようになり、頭は髪の毛は銀色の龍髪へと変貌し対になっている少し黄色みを帯びた鋭く、大きな角が生える頃には、完全に龍になるときとは身長はちがうものの、紛れもないその姿は龍そのものだった。
「う、うわぁぁ!!こ、光太郎がぁ……、ド、ドラゴンだぁぁああ!!」
クラスメートの一人が怯えたような声を出すと、教室はパニックになった。
「マズいっ…!!」
先生も、雰囲気を感じ取ったのだろうか、狼に獣化すると素早い勢いで生徒達の前へ移動した。
「うわぁ!!こ、こっちには狼が……!」
「……君たちは見てはいけない物を見てしまったようだ…。この記憶は消させてもらうっ!!」
狼の瞳が思い切り見開くと、辺りは眩い光に包まれた。
光が収まる頃には、教室にいた生徒は全て気を失っていた。
「うっ……、俺は……?」
光太郎はドラゴンの姿に変化した後そのまま気を失っていたらしい。起きあがると光太郎は人の姿に戻った。
「先生…?俺…、みんなに…。」
焦った声で先生に言う光太郎だが、
「大丈夫だ…。記憶は私が消しておいた。心配するな。」
先生も人の姿に戻り、
「……、まず服を持ってくるから待ってて……。光太郎は大変だけど、一人一人席に座らせて…。」
光太郎は言われたようにすると、全員自然な格好で寝ているようにした。先生の持ってきた制服に着替えると、
「じゃあ、起こすからな……。」
指を鳴らすと、クラスメイトが徐々に起き始めた。そう、英語の授業中に全員居眠りをしていたように記憶を操作したのだ。何はともあれ、何とか光太郎は自身の危機的状況を打開したのであった。
その日の放課後…。
「しっかし……、焦ったなぁ……。」
光太郎は冷や汗を拭きながら先生と一緒に教室にいた。
「あ……、光太郎……?」
先生が改まった口調で光太郎に話し掛ける。
「何ですか?」
光太郎は少しムッとした感じで先生を見る。
「あの…、だから…その……ごめん。」
「いいですよ。べ、つ、に。」
何かを強調するかのように光太郎は話した。
「今日、一緒に夕飯食べに行こうよ。そうだ、そうしよう!」
半ば一方的に先生は話していると……。
「しょうがないですね〜、それで許しますよ。」
光太郎はあっさりと許した。その時、壕焔が小声でこんな事を言った…。
「……初めからそれが狙いだったのか……。」
溜め息混じりで壕焔は光太郎を呆れたように言った……。