輝でぃあす作
「…ト、言ウワケダ」
僕の中に現れた生き物とお話すること２０分近く、このコには色々と事情があるみたい。
「ふーん…？ 大変なんだね…」
名前はジーンて言って、これは自分でつけた自分の名前なんだって。
で、このジーンは大昔に武器として作られたんだ。生き物を人工的に作るって、正直スゴイと思った。
同時に、兵器として作った事に悲しく思った。
それで、ジーンは何かに取り付いていないと生きる事ができないらしい。
道端で倒れて？いたトコロは、本当に瀕死の状態だったみたい。
「…でも、大昔ってことは、それまで誰かに取り付いていたってこと？」
「ソウダ。ダガ、ソノ者ハ私ヲ酷使シタタメ、私ノチカラニ耐エ切レズ…」
「…そっか」
酷使ねぇ… 一体、何にそんなに使ったんだろう？
「…って、まってまって！ じゃぁ、あまり君を使うと僕も…？」
「アア。ダガ、今日ノオ前グライナラ、死ニ至ルコトモナイダロウ、」
「そ、そっか… よかった…」
とりあえず、このコの事情はなんとなく分かった。
「ナントナク カイ」
「いちいちうるさいなぁ、君は」
さて、これからどうするか。だけど… どうしよう、明日は学校も休みだけど…
「オ前ハ一人ナノカ？」
「今は一人だけど… 家族もいるし、友達もいるよ？」
友達かぁ… 僕は決して多いってワケじゃないけど、友達ならいた。
こんな僕の姿見たら、皆なんて言うかな…
そういう事も考えると、ちょっと気が重かった。
「…スマナイ。私ノ生存トイウ事ダケデ、オ前ヲ巻キ込ンデシマッテ…」
「いやいや、いいんだよ。そうでないと、君、死んじゃってたんでしょ？」
真っ黒に赤い瞳、それで少し強面なジーンが、申し訳無さそうに言った。
さて、まずは明日の事を考えなきゃな…。母さんに何て言おう…。
「母親…カ」
「そうだ、ジーンってお母さんとか居るの？」
「母親… ソレハ…」
ん？ なんだか重たい気分が、体を通して伝わってきた。ジーンから…？
「…な、何か事情があるなら、ムリに言わなくてもいいよっ。ね？」
「スマナイ…」
重たい気分が少し軽くなった。体を共有しているからかな？
うーん… うぅーーん……
素直に正直に告げるべきか？ それとも、こっそり今のうちに出て行くべきか？
前者だと、母さん、ビックリして何するか分からないもんなぁ。気絶…？ いや、母さんは強いもし、それはないか。
後者だと… 母さんにそれほどショックは無くなるだろうけど、本当に一人になっちゃうからなぁ…
うーーん… どうしよう〜…
「…オ前ハ、母親ガ好キナノカ？」
「え？ そりゃ、確かによく僕を一人にするけど、僕の事を考えた上での事だし、いざっていう時は必ず力になるし…」
「ナラバ、言イベキダ」
「そ、そう？」
「アア、絶対ニ…」
ジーンの熱意が、体を伝わって感じてきた。ジーンの母さんと、何かあったのかな？
「じゃ、じゃぁ、明日、帰ってきたら言おっか」
「ソウダ、ソウスルベキダ」
…なんか偉そうだよなぁ、僕の身体を使っておいて。ま、いいか。
ひとまず話がまとまって、僕（達）は朝を待つことにした。
「ご飯とかどうするの？ 僕が食べればいいの？」
「ドッチガ食ベテモ良イ。身体は同一ナノダカラナ」
「なるほどね…」
こんなカンジで、僕とジーンは他愛も無い話をしながら、時を過ごした
「シカシ、「ゲーム」トイウノハ、ナカナカ難シイナ…」
「へへへー♪ でも楽しいでしょ？」
「……」
ジーンは返事をしなかったけど、まんざらでもないみたいだった。
明日は母さんになんって言おうかな？ うーん… まぁ、ジーンも悪いコじゃないし、なんとかなるよね。
「よっしゃー！ また僕の勝ち〜♪」
「…………」
おしまい？
小説一覧へ