でぃあす作
「ごちそうさま〜」
ゲームに奮闘していると、いつしかご飯の時間に。
ビックリするといけないから、黒くなる能力?は母さんにはヒミツにしておく事にしておいた。
「夢中になるのはいいけど、宿題もするのよ?」
「はぁ〜い」
流石に、昼間中ずーっと(休憩は挟んだけど)ゲームやったら疲れる。
「う〜んっ… 宿題かぁ… 何だっけ?」
通学カバンをあさってみる。宿題宿題っと…

「……はっ?! あ… もうっ」
ご飯を食べた後っていうのは、どうも眠くなる… 机の上で突っ伏してたみたい。
「え〜っと… あと少し…」
幸い、宿題の残りは少しだったから、ちゃちゃっと終わらせて、自分の時間に。
そしてしばらくはテレビの時間。見てる番組はアニメ、主人公が小さいモンスターと旅をする話だ。
「………」
さっきのゲーム中よろしく、没頭して見る僕。こうやって考えると、何にでも没頭するよね、僕…
「ふぅ… って、うぉ?!」
CMに入って一息付いたと思いきや、身体が真っ黒に!
よく見たら、アニメに出てきたモンスターの格好になっている。相変わらず真っ黒だけど。
「あー… ビックリした。気をつけないとなぁ」
こんな所を、母さんに見られたら… 僕は急いで元に戻った。

アニメも終わり、お風呂に入るかな…?(ちなみに、今度はちゃんと元の姿のまま見れた)
「ヒロトー?」
あ、母さんだ。何だろ?
「ごめーんっ。ちょっとまた友達の家に行く事になったから、お留守番よろしくねっ」
またかー… 母さんはよく友達の家に行っては、翌朝に帰ってくる。話が長引くからだそうだけど…
必ず夕飯後に、そして次の日が休みの時に行くから、そこまで不便は無いんだけどね。
「わかった〜」
恐らく玄関に居るであろう母さんに、いつものように返事をする。

「一人かぁ…」
お風呂の中で一人ボソっとつぶやく。
父さんは出張に行ったばかりで、しばらく帰ってこない。つまり…
「自由だ〜!♪」
といっても、夜中だけなんだけど。
慣れたのもあって、この開放的な雰囲気は、結構好き。嬉しさのあまり湯船ではしゃいでいると…
「んっ……?」
身体のどこかがムズッとした。と思ったのもつかの間。
「な、ん? んふっ、う、うひゃひゃひゃひゃっ! なっ、なんっ…ひゃひゃ・・・」
体中がくすぐったい。何も無い?のにお風呂で一人爆笑する僕…でも…
「ひひひ… んっ、うぐぅっ…?」
身体が変だ… なんだか、ドロドロと手も足も関係なく、とろけていくような…
「な、な…に……」
遠のく意識…一体何が起こったんだ? そして、しばらく自由の利かないまま、時間だけが過ぎていった。

「……起キロ……」
誰…? どこからとも無く聞こえてきた声に、僕は意識を取り戻す。
「ん〜…… って、うひゃあぁ?!」
本日2度目の雄叫び。そりゃ、誰だって雄叫びたくなるさ。だって…
「な、何このドロドロ?!」
確かに、意識が無くなる前に、とろけるような気がしたけど、本当にとろけてるとは…
「しかも真っ黒… って、ま、まさか?」
いつかと同じように、何かイメージしてみる
「…ふぅ…」
ひとまず、トカゲの姿になっておく、なんだか、前より姿を変えやすくなったような気がする
「一体何が… あの黒いのは一体何なの?!」

トカゲ姿のまま、お風呂から上がった僕(一応、折角だから身体を洗っておいた)
前と違って、そこまで意識していなくても、姿を保てるようになった。でも気を抜くと…
「うひょっ!」
形が崩れ、スグにドロドロ状態になっちゃう。ドロドロといっても、結構なめらかで、畳の隙間に入り込んじゃいそうだった。
「もー、何なの?!」
今日、一人でよかった。神様が本当にいたら、ありがとうって言っておこう…
トカゲ姿のまま、これからどうするか、元に戻る方法、こうなった理由などを一人頭のなかでグルグルと回していた。
「…オイ」
「…? 誰?」
声が聞こえた、でも周りを見ても誰も居ない。気のせい?
「……オイ」
「ん? うひゃあぁ!?」

べっちゃ〜ん…

椅子から転げ落ちて、見事に床にぶちまけられた僕。こぼしたジュースってこんな気持ち?
「阿呆ナ事ヲ考エテル場合カ…」
「あ、そうだった… って、キミのせいでしょ!」
そりゃ、突然、自分の身体から他の生き物?が生えてきたらビックリする!
どうやら、声の主は、その生えてきた生き物みたい。僕とはまた違った、トカゲみたいな顔をしている。そしてニョロニョロ。
「ニョロニョロ ジャナイッ!」
「……」
続く?

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